前回のブログでは、ブラインド・テイスティングの効果的な実践方法「クンクンメソッド」についてお話しました。今回はブラインドで間違えてしまったときにどうすれば良いか?についてお話します。私はブラインドの能力を向上させるためには、間違えたときの振り返りが何より大事だと思っています。
効果的な振り返りとは?
皆さんはブラインドで間違えたあと何をされていますか?当たった時は大喜びして、外れたときは見て見ぬふりをして次のワインを見つめていませんか?このようなやり方では当たった、外れた、を繰り返すのみで得られる成長はわずかです。正答率も安定しにくいと思います。
ブラインドの正答率を向上させるためには、振り返りをしっかり行うことに尽きると思っています。それはどうすれば正答できたか?と考えることです。
まず品種の特徴を感じることが出来ていたかどうか確認しましょう。外観の色調、液体の状態、香り、味わいの特徴などです。例えばアルバリーニョ、グリューナ・ヴェルトリナー、南アフリカのシュナン・ブランは魔のトライアングルと呼ばれるほど判別が難しい品種です。この3品種の私なりの判別方法を一例としてお話したいと思います。
まずアルバリーニョの特徴は塩味と思われる方が多いかもしれませんが、私ははっきりとしたイエローの色調とオレンジピールのような熟度の高いフルーツの香りにあると感じています。グリューナ・ヴェルトリナーの外観と比較した場合、グリューナ・ヴェルトリナーはグリーンのトーンが強いライトイエローですので、色合いに違いがあります。またグリューナ・ヴェルトリナーはロタンドン由来の白コショウの香りが特徴的ですが、南アフリカのシュナン・ブランにも似た香りがとれることがあります。南アフリカのシュナン・ブランにはハーブの香ばしく、ちょっと苦そうなタール様の香りがするのですが、飲んでみると香りのイメージ通りの強い苦味があることが特徴的です。グリューナ・ヴェルトリナーにはそれはないかあってもわずかです。
私なりの判別ポイントが皆さんにも共感できるかはわかりませんが、外観/香り/味わいの品種ごとの差を比較しながら、自分が感じたことを明確にしていくことで正答率が向上することを長年の手応えとして感じています。このように自分が何を感じて、そして何の品種と間違えたのか?を知ることが正解への最短コースだと思っています。
品種の特徴をわかっていないとき
ひとつ例外があります。それはそもそもその品種の特徴を知らないことが原因だった場合です。これはポーカーの手役を知らずゲームをやるようなことになってしまいますので、当たり前ですがまずそれを知る必要があります。私が過去に実践した改善方法は、生産者違いで同じ品種/同一産地/同価格帯のワインを6本程度発注して比較しました。それらのワインを日々比較しながら飲み続けることで、グリューナ・ヴェルトリナー、アルバリーニョ、サンジョベーゼ、ネレッロ・マスカレーゼなどあらゆる品種の生産者によらない共通項を見出しました。それが自分なりの品種特性になっていると思います。
同じ品種にばかり間違えているとき
もしも特定の品種同士を何度も間違えている場合は、それは大きなチャンスです!その品種との違いを自分の中で整理できれば二つの品種を同時に体得することができ、まさに一挙両得です。私は過去に自分のブラインドテイスティングの全データをエクセルで分析しました。その結果、サンジョベーゼとテンプラニーリョ、シラーズとカベルネ・ソーヴィニヨン、アリゴテとシャルドネを高頻度に間違えていることに気付きました。これらの品種の比較試飲を繰り返すことで少しずつ克服していきました。宣伝ですが、私の授業では受講者の皆さんの回答をデータ化して間違え方のパターンを分析して一緒に練習しています。私が過去に悩んだことをいち早く克服できると思いますので、ご興味があれば是非自由が丘ワインスクールにいらしてください。
前回お伝えしたクンクンメソッドの中では仮説を設定することについてお話ししました。迷ったらいくつも仮説を置くことが大切です。もし間違えたとしても仮説の候補品種に答えが含まれていれば、ある意味ニアピンです。あとはどうすれば正答できるか?自分との対話を続けていけば良いのです。
では次回は多くの人が頼りたい直観/第六感についてお話します。
2018年1月に行われた田崎ワインサロン第13回ブラインドテイスティング大会で初優勝しました。このときにテッレ・ネレのネレッロマスカレーゼをヴィンテージ違いでしたが正答することができました。自分なりに確信をもって回答したことを覚えています(生産者はタマタマです)。
2016年3位、2017年2位、2018年1位、3年間に渡って一段一段登りました!田崎さんの丁寧なサイン入りの賞状は素晴らしい記念になっています。
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